診療内容 ~月経困難症~
月経困難症とは、生理期間中に生理にともなって起こる病的症状のことです。
下腹部痛、腰痛など一般的に生理痛と呼ばれるものに加え、おなかの張り、吐き気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、イライラ、下痢および憂うつなども含まれます。
月経困難や過多月経に大きな福音
近年、女性の社会における活躍の場が広がってきていますが、それに伴い月経に関する異常が増えてきています。従来、低用量ピルやLEP製剤(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)が効果的治療とされていますが、ホルモン治療に伴う副作用(血栓症など)が懸念されています。そこで登場したのが血栓を危惧される方にも安心して使用できる薬物放出子宮内システム(IUS)という画期的な治療法であります。
IUSは子宮内リングのことですが、従来のリングと大きく異なる点は、リングの表面から低用量ピルと同じ成分のホルモン(黄体ホルモン)が放出され子宮内で作用し、月経困難や過多月経といった症状を緩和してくれます。リング表面から放出されるホルモンは、子宮内だけに留まるため(経口ピルのように全身には広がらない)、血栓症などの副作用の心配はありません。もちろん40歳以上の方でも安心して使えます。
図1はリングが装着された様子を示しています。子宮内膜をうすくすることで、月経量を減らし月経痛を軽くする効果があります。また受精卵の着床(妊娠の成立)を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が膣の中から子宮内へ侵入するのを妨げたりすることで避妊効果もあります。
子宮内膜の変化
図2はリング装着前後の子宮内膜の変化を表しています。リングは子宮内に装着されたあと、リング表面に付加された黄体ホルモンが子宮の中で少しずつ放出されます。このホルモンは子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、内膜はうすい状態となり、月経量は減少し月経痛も緩和されてきます。
2014年には保険も認められており、手ごろな価格で治療を受けられるようなりましたので、月経痛や過多月経、それに伴う貧血でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。